プログラム

バラ色のメヌエット/P.モーリア

ポール・モーリアは1925年、フランスに生まれ、幼少の頃から本格的な音楽教育を受けました。その後、アマチュアジャズバンドやダンスホール専属オーケストラでのピアニスト兼アレンジャー等の研鑽を積み、1965年に自身のポール・モーリア グランド オーケストラを結成しました。
この曲は、1975年に発表されたアルバム「巴里にひとり/リリー・マルレーン ポール・モーリア」に「ミニュエット」という題名で発表された自作曲で、シングルカットを期に題名を「バラ色のメヌエット」と改められました。

歌の翼に/F.メンデルスゾーン

フェリックス・メンデルスゾーンは1809年ドイツのハンブルグに生まれ、神童として幼少期から優れた音楽の才能を示しました。「ヴァイオリン協奏曲」「真夏の夜の夢」など今日でも広く知られる数々の作品を生み出し、またバッハの音楽の復興、ライプツィヒ音楽院の設立によって19世紀の音楽界へ大きな影響を与えました。
この曲は、ハインリヒ・ハイネが1827年に発表した「歌の本(Buch der Lieder)」にある詩に、メンデルスゾーンが曲をつけた歌曲(「6つの歌」作品34の2曲目)として世界的にもよく知られています。本来は歌とピアノ伴奏のところ、ギターの美しいアルペジオを生かした編曲になっています。

映画「マチネの終わりに」から、幸福の硬貨/菅野祐悟(ギター三重奏)

「マチネの終わりに」は、東京、パリ、ニューヨークを舞台にクラシックギタリストとジャーナリストの愛の物語を描いた芥川賞作家・平野啓一郎のベストセラー小説で、2019年に福山雅治、石田ゆり子主演で映画化されました。「幸福の硬貨」は、作中に登場する架空の映画音楽で、誰もが聴いたことがありギタリストに愛される曲という設定です。
今回はプライムギターの3重奏(大沼真樹(2nd)・國宗愛(1st)・大内直子(3rd)※画面並び順)でお届けします。

弦楽セレナーデ0p.22より第一楽章/A.ドヴォルザーク

アントニン・レオポルト・ドヴォルザークは、後期ロマン派を代表するチェコの作曲家です。1874年に「交響曲第3番」をオーストリア国家作曲賞に提出して入賞し政府からの奨学金を獲得しました。また当時の選考委員であったブラームスに評価され、世にドヴォルザークの名を知らしめることとなりました。代表的な作品に「交響曲第9番『新世界より』」「スラブ舞曲集」などがあります。
「弦楽セレナーデ」は彼が33歳の時、1875年の5月にわずか2週間足らずで書き上げられた作品です。奨学金を獲得し、また2年前に結婚した妻との安定した生活が保障された実り豊かな時期であり、穏やかで叙情性に富んだ曲となっています。
私達は、2013年クリスマスコンサートにて全楽章を演奏しました。美しい響きと旋律で団員の人気も高く、今回は第1楽章Moderatoを演奏することにしました。

きよしこの夜/F.グルーバー

聖夜物語」でもご紹介しているとおり、私達は毎年「クリスマスコンサート」の最後に、「きよしこの夜」をお客様と共に歌い、演奏会を締めくくっています。今回は無観客での録画となりましたが、また皆様と歌える日を思い、ギター合奏のみで収録しました。ぜひお楽しみください。

ボーナストラック ※2019年コンサートより

きよしこの夜/F.グルーバー(歌あり)

これまでの「クリスマスコンサート」の雰囲気をお楽しみいただくため、2019年の最後に演奏した「きよしこの夜」もご紹介します。会場のお客様の歌声とともにお聴きください。

Three V/猿谷紀郎(新日本ギターアンサンブル委嘱作品 初演)

猿谷紀郎氏は1960年東京に生まれ、慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、ジュリアード音楽院作曲科に留学、1987年同大学院を名誉奨学生として卒業しました。その後国内外の数多くの音楽賞を受賞し、クラシックや舞台音楽等幅広い分野で活躍しています。
この曲は、新日本ギターアンサンブル委嘱作品として作曲され、2019年ギタークリスマスコンサートにて初演されました。「Three V」の3つのVとは、ヴィジョンvision ヴェンチャーventure ヴィクトリー victoryを意味します。これは2017年に亡くなった医学博士の日野原重明氏がモットーとしていた「将来に対する視野(ヴィジョン)を持ち、勇気を持って行動(ヴェンチャー)し、最後には勝利(ヴィクトリー)を得よ」 という言葉に感銘を受けて作られたものです。
石橋首相の主治医を務める(46歳)、(財)ライフプランニングセンター設立、同理事長就任(61歳)、トマスジェファーソン大学人文科学名誉博士(86歳)。氏の功績は枚挙にいとまがありませんが、この曲では氏が亡くなった105歳、105小節をもって終了します。

ブラジル風バッハ第九番/ヴィラ=ロボス

エイトル・ヴィラ=ロボスは、ブラジル固有の音楽をクラシック音楽の語法に翻訳し、あらゆるジャンルに膨大な作品を残しました。特にギターとチェロを愛奏した彼は、私達現代のギタリストに貴重なレパートリーを数多く残してくれました。
「ブラジル風バッハ」は、声楽も含む9曲からなる彼の代表作で、この曲は1945年に作曲された最後の第9番です。連作のフィナーレを飾るにふさわしく、敬愛するバッハ時代の音楽形式であるプレリュードとフーガで構成されています。元々はア・カペラ(無伴奏の合唱)の作品でしたが、あまりに演奏困難だったため作曲者自ら弦楽合奏に編曲したと伝えられています。
曲は大アマゾンの夜明けを思わせる劇的な響きで始まり、続いて現れるプライムギターの旋律は一度聴いたら忘れられない魅力を湛えています。フーガは11/8(5/8+6/8)という変拍子で書かれ、各パートは緊張感を保ちながらも終始躍動し続け創大な世界を描き切ります。